PNH情報など 準備中

PNHとは

PNHの定義と特徴

PNHの定義が非常に簡潔に表されている論文を以下に示します。

「PNHの血液細胞は、補体を制御する蛋白であるCD55(DAF)、CD59がないため、感染等で補体が活性化すると、補体の攻撃を直接受けて赤血球は血管内溶血をおこす。これらの補体制御蛋白は、GPIアンカー型蛋白と呼ばれる特殊な蛋白で、この蛋白群を合成するのに必要な遺伝子であるPIGA遺伝子に異常がおこる病気である。再生不良性貧血を代表とする骨髄不全疾患と、しばしば合併したり移行したりする。血栓症は日本人(アジア人)では稀であるが、PNHに特徴的な合併症である。」

 血管内溶血と骨髄不全、血栓症がPNHの三大特徴といわれています。血管内溶血と血栓症は非常に密接に関係しており、溶血を補うために血液を造ろうとする反面、造血能力が低いという、相反する病態が混在しており、症状の出方や強さなどが患者さんごとに違うのが特徴的な疾患です。

 

会報「PNH俱楽部だより」№10より抜粋。西村純一先生執筆(当会顧問)

PNHの治療

「PNHを取り巻く状況」

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)溶血の治療薬として、抗補体C5抗体であるエクリズマブ(ソリリス🄬)が開発され、顕著な溶血抑制効果に加え、血栓症発症リスクの軽減、溶血に伴う平滑筋攣縮症状(嚥下困難、男性機能不全、肺高血圧など)の緩和など、様々な効果が示された。患者QOLや生命予後も劇的に改善し、妊娠・出産も検討可能になったが、髄膜炎菌感染症に対する対策の重要性が再認識されえいる。エクリズマブの改良型リサイクル抗体であるラブリズマブ(ユルトミリス🄬)も昨年承認され、これまでの2週毎の投与から8週毎に延長され、利便性は格段に向上した。現在(2020年寄稿時)、臨床試験が進行中である、同じリサイクル抗体であるクロマリバブ(SKY59)では、皮下投与、自己注射が可能である。しかしながら、これらの補体阻害薬は、骨髄不全に対しては効果を示さないため、別個に治療の可否を検討する必要がある。エルトロンボバグ(レボレード🄬)やロミプロスチム(ロミプレートする🄬)などのトロンボポエチン受容体作動薬が難治性の再生不良性貧血(AA)に奏功することが示され、AA-PNH症候群の血球減少に対しても効果を示している。また、抗C5抗体のような終末補体経路の阻害薬では、血管外溶血の出現が課題となっている。この課題を克服するためには、C3、FactorD、FactorBなどの近位補体経路を標的とすることが有効と考えられる。実際、C3阻害薬であるPegcetacoplanの成績を見ると、ヘモグロビン値の回復は、明らかに従来のC5阻害薬より良好である。ただし今後は、長期にわたる安全性に注視する必要がある。また、近々(2020年寄稿時)臨床試験が計画されている、FastorD阻害薬(Danicopan)とFactorB阻害薬(LNP023)は、経口剤なので非常に魅力的である。ただし、古典経路を抑制しないので、単剤でPNH溶血を安定的にコントロール

することが可能か検証する必要がある。長期の安全性とともに、これらがクリアされれば、将来的には、第一選択薬となり得るかもしれない。このように、PNHの治療は選択の時代に突入した。

 

ニューズレター「クローバー」27号より抜粋 西村純一先生執筆(当会顧問)

PNHの主な治療(治療薬)

国内で使用されている補体阻害薬  リンク先は販売者(薬の説明頁の場合もあります)

2024/5/7更新

薬の名前(商品名) 一般名 販売者(リンク)
ソリリス   エクリズマブ  アレクシオン
ユルトリミス  ラブリズマブ  アレクシオン
ユルトリミスハイ  ラブリズマブ  アレクシオン
ボイデヤ  ダニコパン  アレクシオン
ピアスカイ  クロバリマブ  中外

国内で今後使用されるかもしれない補体阻害薬

薬の名前(商品名) 一般名 販売者名
イプタコパン

ファバルタ

ノバルティス